ファクタリングに年利!?詐欺師がファクタリングをだしに使う理由

10年ほど前から徐々に有効な資金調達方法として浸透してきたファクタリングですが、日本ではまだまだ認知度が低いのが現状です。当然、ファクタリングの知識がない人も多くいます。

詐欺は、このようなファクタリングの知識に詳しくない人を狙っているのです。
実際に起きた詐欺事件を知り、ファクタリングを安全に進めてください。

年利6.3%の金融商品?詐欺で使った手口とは

発端は2017年の秋ごろになります。

有名歌手だったA子さん。妹の知人男性Bが資産運用会社を始め、B曰く「新たに開発した金融商品がある」といってA子さんの母親に近づきます。

「元本保証型の定期預金で年利6.3%がつく」

現在メガバンクといわれる大手銀行の定期預金の金利は、いくら預けていても0.01%。これに比べると600倍以上の高金利という事になります。普通なら怪しい話だと思って断ります。

「企業の売掛金を安く買い取って儲ける“ファクタリング”という仕組みを導入したから大丈夫です」
「ファクタリングは1970年代に誕生した資金調達方法で、欧米では広く浸透しています」

この言葉と、実際にBの提示した会社の口座に約10億円の預金残高があったため、A子さんの母親はすっかり信用して、Bに5,000万円もの大金をつぎ込みます。

しかし、実態は詐欺行為で、利息が振り込まれたのは最初のうちだけ。一向に利息が振り込まれない事に業を煮やした出資者たちがBに問い合わせをしても「事業が軌道に乗れば必ず返します」の一点張りで逃げ続けていました。

A子さんの母親の友人や、俳優・ミュージシャンらも何百万円単位でBに出資しており、芸能界だけでも被害総額1億円にのぼるといわれています。2018年末、利息の支払いが完全に滞ったため被害者たちがBを問い詰めると、ファクタリング事業などの実績がなかった事を認めます。

そして「警察に自首します」といったBでしたが、そのまま失踪してしまいました。
A子さんの母親とその友人たちは刑事告訴に向けて準備中です。

なぜ被害者たちは騙されたのか?

なぜ詐欺事件の被害者たちは簡単に騙されてしまったのか。それには“ファクタリング”というキーワードが大きく関係しています。

ファクタリングで儲かっている会社なら安全だというように、思わず騙されてしまのです。ファクタリングは日本ではまだまだ認知度が低く、仕組みが分からない人がほとんど。そのような状態で、ファクタリングという言葉を使われると、さも実績のある優良会社だと勘違いしてしまうのです。

Bが詐欺に使ったファクタリングとは

Bが詐欺加害者に語ったファクタリングについて、もう一度検証してみます。

Bは次のように語っています。

  • 企業の売掛金を安く買い取って儲けるファクタリングという仕組みを導入
  • ファクタリングは1970年代に誕生した資金調達方法で、欧米では広く浸透している

これは、正解がほんの一部でほとんどが誤りなのです。
ファクタリングの仕組みと歴史について説明していきます。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングは企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して、資金調達を図る有効な方法です。企業が売掛債権を売却すると、ファクタリング会社から入金があり、後日、売掛先から支払いがあった時に企業からファクタリング業者に入金します。

売掛債権を売却するにあたって企業の負担する費用には、次のようなものがあります。

  • ファクタリング手数料…2社間ファクタリング 売掛債権の15%~30%

3社間ファクタリング 売掛債権の1%~9%

  • 掛け目…売掛債権の額面に対して75%~90%
  • 債権譲渡登記費用(司法書士に委任する場合)…3万円~5万円
  • 債権譲渡手続きに関わる印紙代
  • 振込手数料

掛け目とは、売掛債権の買取率を指します。売掛債権は満額現金化される訳ではなく、掛け目によって減額されます。

しかし、一般的にはファクタリング業者が売掛債権を回収した後は、企業に対して減額分が返金されます。始めから満額で売掛債権を買い取るファクタリング業者もあります。

手数料や印紙代などの諸費用はかかりますが、ファクタリング業者が「売掛金を安く買い取る」というのはあり得ない事が分かります。

ファクタリングの歴史

ファクタリングの歴史は古く、一説には16世紀のイギリスという説もあります。本格的に運用が開始されたのは、1900年頃のアメリカです。

日本でファクタリングが誕生したのは1970年代初頭です。しかし、当時はまだ手形取引が一般的で、ファクタリングのニーズはほとんどありませんでした。

1991年のバブル崩壊後、手形取引は減少してファクタリングが注目されるようになってきたのです。2000年以降は徐々にファクタリングの認知度が高まっていきますが、アメリカのファクタリング市場の約10分の1程度といわれています。

ここで先ほどの発言を見てみます。

「ファクタリングは1970年代に誕生した資金調達方法で、欧米では広く浸透している」

確かに欧米では広く浸透しているファクタリングですが、誕生したのは今から100年前で1970年代というのは日本に誕生した年代です。

金融詐欺に遭わないためにできること

説明した架空の金融商品を使った詐欺事件は、多発しています。今後、ファクタリングが一般的なものになるにしたがって、ますますファクタリング関連の詐欺が増える可能性があります。

これに対抗するためには、利用者がファクタリングや金融商品について知識を持っておく事が大切です。

また、金融商品を取り扱うためには「金融商品取引業」の登録が必要です。登録業者は金融庁のホームページから照会できます。

話がうますぎるな、怪しいなと感じたら、まず登録の有無を確認してください。登録番号を教えない場合は、無登録の可能性が高いです。

すぐに金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016-811 平日10:00~17:00)か、各地の財務局に知らせてください。

自分のお金は自分で守る時代になってきたのです。