廻し手形とファクタリングの違いを比較

廻し手形は、「裏書手形」と呼ばれることもあります。
廻し手形もファクタリングと同じ資金調達の手段です。
今回は、この2つのサービスそれぞれのメリットとデメリット、そしてその違いについて解説していきます。

廻し手形(裏書手形)とは


企業間の取引決済においては、現金支払いではなく、従来は約束手形(または支払い証明書)を一般的に発行します。
廻し手形とは、他社から出された手形を、取引先への支払いのために譲渡することを言います。
この廻し手形を活用することによって、他社からの支払いを受けず、取引先への支払いが難しい場合でも支払いを済ませることが可能になります。

メリット

2社間ファクタリングのメリットを知って効率的な金策をしよう
廻し手形の利点としては、取引先へ支払いのためのキャッシュがない状態でも、手形を所有していれば支払いを済ませることが可能になるという点です。
また、割引手形のような審査もないので、割引料が引かれるということもありません。

デメリット


もちろん懸念点もあります。廻し手形のデメリットになる部分は、以下の点が挙げられます。

  • 取引先に断られる可能性がある
  • 時間がかかる
  • 不渡り時には支払い義務がある
  • 主にこの3点です。

    実は、廻し手形はあまりメジャーな支払い手法ではありません。
    また、償還請求権があるというリスクもあり、手形管理も困難という面もあります。

    ファクタリングと廻し手形の違いとは


    ファクタリングと廻し手形はどちらも資金調達というカテゴリーでは同じものになります。
    それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで違いについてご紹介します。
    主な違いとしては、以下の点が挙げられます。

    ①償還請求権の有無

    前述の通り、廻し手形のデメリットの一つとして、「償還請求権がある」ということが挙げられます。
    もし振出人が不渡りを起こしてしまって廻し手形の現金化ができない場合は、償還請求権がかかり自社に支払い義務が生じます。
    しかし、一方のファクタリングは償還請求権がありません(ノンリコース )
    そのため、もし売却した売掛債権が不良債権化した場合でも、利用者がファクタリング会社に弁済をする義務はないのです。

    ②スピード

    2つのサービスは、実行のスピードも異なります。
    廻し手形を利用する場合は、取引先が手形の信用調査を行い、そのうえで承認するかどうかを決定します。
    そのため、これら全てが成立するまでに時間がかかってしまいます。
    一方のファクタリングは非常にスピーディーです。
    特に、ファクタリング会社と自社の2社間のみで行う2社間取引の場合は、売掛先に通知する必要がないため、最短で即日での現金化が可能です。

    ③手数料

    ファクタリングには手数料が発生する一方、廻し手形は手数料が発生しません。
    割引料も発生しないため、廻し手形の方がその分では損をしないと言えます。
    ファクタリングの最大のデメリットは手数料の高さにあり、頻繁に利用を行うと資金繰りが改善されるどころか、利益を手数料に奪われてしまいます。

    リスクが低いのは


    2つのサービスを比較してみましたが、ファクタリングの方が廻し手形よりもリスクは低いと言えます。
    廻し手形の場合は、譲渡した手形が不渡りになれば大きなリスクとなり、更に償還請求をされてしまう恐れがあります。
    ファクタリングは手数料の高さがネックになりますが、それを把握していれば非常に効率的な資金調達の手段になると言えます。
    これらのサービスは利用目的に合わせた検討をすることをおすすめします。