
手形割引とファクタリング。これはどちらも、「売掛金を早期に現金化する」ための手段です。
目的は同じサービスなのにもかかわらず、この2つは何故それぞれが別の方法として扱われているのでしょうか。
また、一般的には「ファクタリングのほうが利便性が良い」とされていますが、それにはどのような理由があるのでしょうか。
今回では、手形割引からファクタリングへ切り替えるかの判断について解説していきます。
ファクタリングの方が優れている?
ファクタリングは、まだそれほど日本でメジャーな資金調達手段ではありません。
それはまだ3割ほどの企業が、支払い手段として手形を利用し続けているという理由もあります。
しかし、手形割引とファクタリングの目的は同じであることから、特別な理由がない場合は手形で支払い続けるよりも、ファクタリングに切り替えをした方が良いケースもあります。
手形割引は融資、ファクタリングは買取
ファクタリングと手形の大きな違いとして、手形割引は「融資」の扱いであることに対し、ファクタリングは「買取」と扱われている点が挙げられます。
手数料面で差はあまりない
まず、ファクタリングを利用する時に懸念される手数料ですが、売掛先に承諾を得る必要のある「3社間ファクタリング」の場合は、手数料に大きな差はありません。
手形割引で必要となる割引料の相場は、都市銀行で1.5〜3.0%程度、普通銀行は2.0〜3.5%程度、信用金庫は2.5〜4.5%程度となっています。
続いて、ファクタリング導入時の手数料目安は、3社間ファクタリングが1.5%~5%程度、2社間ファクタリングは15%~30%程度です。
一般的に、手形割引は3社間ファクタリングと同様、売掛先の合意を得て行うため比較する対象はは3社間ファクタリングと手形割引です。
よって、3社間ファクタリングの場合でも、手形割引と殆ど変わらない利率でファクタリングが利用できるということが言えます。
スピードには大きな違いが
手形割引とファクタリングはどちらも、売掛金を買い取る際に審査を受ける必要があります。
しかし、審査を挟んで最終的に売掛金が口座に反映されるまでのスピードには大きな差があります。
ファクタリングが最速だと即日の入金が可能であることと比較すると、手形はそれよりも遅くなります。
どれくらいのスピード感が必要かにもよりますが、この点は差があることに注意が必要です。
手形割引のデメリットとは
①不渡り発生の際に返済リスクがある
取引先の倒産等で手形が不渡りを起こした場合、返済は一括で請求される場合が多く、キャッシュフローに苦しい時にこの事態が起きると大きな打撃を受けてしまいます。
②審査が厳しい
手形割引は、「短期融資」と本質的には同じです。
よって、審査は融資の時よりも少し優しくなる程度で、基本的にどんな条件でも通るというわけではないことに注意が必要です。
③取引先が承諾しなければ利用できない
手形割引は、ポピュラーな手法とはいっても、利用を拒否する事業者も少なからず存在します。
取引先の承認がなければ利用できないというのは懸念点の一つになります。
切り替えはファクタリングの方が有効
まとめると、ファクタリングと手形割引には上記のような違いがありますが、あらゆる部分でファクタリングが優れているということが言えます。
資金調達でどのようなことを目的としているのかを再確認し、最も効率来な手段を検討することをおすすめします。